馬也ホースレーシング

一口馬主・馳走(はせ・はしる)のブログです。シルクHC・ノルマンディーOC・DMMバヌーシーにて出資中。シルク2021年産・ターコイズフリンジ命名。競馬以外の話題はnoteにて発信中。 https://note.com/machino_sokoyori

【ウマ娘】シンデレラグレイ38R タマモクロスはなぜ「待てた」のか。先に【原作】をおさらいしておくぜ。

 単行本作業による休載明けで、2週間ぶりとなった『ウマ娘 シンデレラグレイ』最新話の木曜日でございます。アプリも相変わらずの絶好調で、本作のコミックス累計発行部数も35万部を超えたようですが、重版に次ぐ重版でも相変わらずの店頭品薄の現状を考えると、さらに部数を伸ばすことでしょう。

 

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コミックスも、紙媒体が手に入る前にまずは電子で…というのもまた一興です。

 

 

 

 さて、今回のシンデレラグレイは、いよいよスタートした天皇賞・秋で、周囲を驚かせる先行策に打って出たタマモクロスの視点を中心に物語が進行します。

 

 冒頭ではレジェンドテイオーっぽいロードロイヤルちゃんが、前年の惜敗を糧に覚悟の逃げを披露するシーンから始まりますが、これまでにも何度か触れた通り、この後のレースでたいがい先頭を引っ張っていますので、ぜひとも「今回のロードロイヤルちゃん」枠で様々な【逃げ口上】をぶち上げてほしいものです。

 

 話を元に戻して本題の「タマモクロス」の先行策ですが、なぜタマモクロス(原作的には、タマモクロスに騎乗していた南井克己騎手)はこの策を取ったのか、シンデレラグレイではどのような解釈と演出で描かれるのかはまだわかりませんが、大河ドラマ的に先に史実を押さえたうえでその演出を楽しむのが一番面白いのではないかと、ここ最近の「ウマ娘」各メディアでの展開を観ていて個人的には思うので、先に原作の話をしたいと思います。

 

 ある意味「ネタバレ」ではあるものの、以前から当ブログでは史実にネタバレも何もなしのスタンスなので、特に遠慮せず書き進めていきたいと思います。

 

 まず、タマモクロス=南井騎手がこのレースで先行策を取った理由、それは、南井克己騎手自身がオグリキャップの末脚を「身を以って」知っていたからです。

 

 中央競馬移籍後のオグリキャップの重賞連勝街道では、「基本的に」この天皇賞でも騎乗している河内洋騎手が騎乗していましたが、たった一戦だけ、河内騎手が騎乗の都合がつかずに別の騎手が騎乗したのが「京都4歳特別(GⅢ・もちろん1着)」で、その時に手綱を取ったのがほかならぬ南井克己騎手でした。

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 このレースでオグリキャップと南井騎手は道中中団の後ろから進んで、3コーナーから楽な手応えで進出すると、直線入り口では馬群を割って先頭に立ってそのまま押し切る強い勝ち方で、その一部始終を馬上で体感した南井騎手には、感覚としてオグリキャップの力が体に染みついていました。だからこそ、「後ろから行ったら勝てないかもしれない」という判断に至ったのでしょう。

 

 さらに言えば、「シンデレラグレイ」作中でタマモクロスが言っている「馬群に突っ込む苦手意識は宝塚記念で克服した」ということからも、南井騎手がこのレースの騎乗経験から、「後ろから行って勝てないならば、前につけることができるのか。タマモクロスは馬込みでレースを進めても強いのか。」を宝塚記念で事前検証を行っていたのではないか、ということを想像させます。

 

 なおタマモクロスの88年宝塚記念におけるコーナー通過順位は【8-8-6-5】(13頭立て)で、このレースにおいて南井騎手が馬込みの中での競馬と早めに先団に進出する積極策を試みていたことがここからも見て取ることができます。

 

 こういった理由で、タマモクロスは88年の天皇賞・秋で、オグリキャップを「待つ」ことができました。結果についてはあえてここで明言するものではありませんが、「ライバルを待ってから追い出す」ことのできる馬が強いのは、1998年毎日王冠のサイレンススズカ、2020年日本ダービーのコントレイルの例を見るまでもなく明らかです。

 

 翻って、騎手という概念が存在しない「シンデレラグレイ」では、タマモクロスがオグリキャップを「待つことができた」理由がどのように書かれるのでしょうか。ワタクシは、このレースの見せ場がそこに凝縮されているように思います。ぜひとも、そんな最大の見せ場を「こういう風に見せてくるのか!」という感嘆とともに味わっていただきたく、今回は先回り気味に原作のお話をしてみました。