馬也ホースレーシング

一口馬主・馳走(はせ・はしる)のブログです。シルクHC・ノルマンディーOC・DMMバヌーシーにて出資中。シルク2021年産・ターコイズフリンジ命名。競馬以外の話題はnoteにて発信中。 https://note.com/machino_sokoyori

【ウマ娘】シンデレラグレイ53R 日本と海外のレースの違いをうまく描いた今回、唯一の癒しは新海外モブウマ娘。

 ミシェルマイベイビーとオグリキャップ、扉絵で向かい合って立つと頭一つ分ほどの身長差がありますが、原作のマイビッグボーイとオグリキャップは、このレース出走時の馬体重わずか8キロしか違わないんですよね。オグリは案外馬格があるのです。

ynjn.jp

 「うまよん」もBlu-rayになるみたいです。例によってアプリ版ウマ娘で使えるシリアルコードが封入されるようですよ。

 

 

 さて、道中ミシェルマイベイビーにぶつけられたオグリキャップは、原作通りせっかくとった好位前目の位置取りを譲らざるを得ない形になり、後方でレースを進めたタマモクロスもエラズリープライドらと激しいボディコンタクトを繰り返し、最後尾まで下げられてしまいます。

 

 一見ラフプレーともみられる海外勢の走りですが、実際の欧州や北米の競馬も位置取り争いはこれくらい激しく、まだ海外競馬との接点がジャパンカップ程度に限られており、日本からの遠征も極めて少なかったこの当時では、日本の競馬関係者は大変戸惑っていたことでしょう。馬のつくり自体もまだまだ欧米とは大きな差があった時代でした。

 

 この日本と欧米の違いは現在でも、特に人間=騎手の部分ではいまだに根強く残っており、例えば英国のトップジョッキー、ライアン・ムーア騎手は日本の競馬学校では絶対に習わないような腕っぷしに任せた騎乗スタイルが有名で、短期免許で来日した際には、毎回勝ち星を量産していきます。

 

 このジャパンカップも、特にペイザバトラー(ウマ娘的にはオベイユアマスター)に騎乗したクリス・マッキャロン騎手の深謀遠慮を張り巡らせた騎乗は、日本とかの国との間にある彼我の差を痛感させられるものがありました。

 

 レース後、オグリキャップに騎乗した河内洋騎手も、タマモクロスに騎乗した南井克己騎手も、わずかな見込みや感覚の違い、ズレが結果として勝ち馬に先手を譲る結果になってしまったというような回顧をしています。

 

 しかし、騎手の概念のない「ウマ娘」の世界ではそれをどう描くか…実はシンプルで、ウマ娘は人間同様に言葉も喋れば思考もするので、騎手の駆け引きはそのままウマ娘に落とし込めるんですよね。その駆け引きをきっちり描くために海外勢の描写深掘りをレース前に徹底的にやった構成も、いよいよここにきて生きてきています。

 

 そんなバチバチの展開の中、唯一のプリティ要素は、今回初登場で、天皇賞のトップシュンベツちゃんのような扱いを受けていたモブウマ娘、シャーリースカイちゃんではないでしょうか。

 

 名前とレース中の位置取りから、英国馬ながら日本での種牡馬入りを見据えて日本人オーナー・古岡秀人氏に買われたシェイディハイツがモデルなのではないかと思われます。このジャパンカップでシェイディハイツには柴田政人騎手が騎乗し、史上初めてジャパンカップで海外馬に日本人騎手が騎乗した例となりました。日本人騎手の海外馬騎乗によるJRAGⅠ勝利は、1995年の安田記念におけるハートレイク(UAE)・武豊騎手のコンビが初となります。

 

 日本での種牡馬入りを視野に入れて日本人オーナーに買われた競走馬のジャパンカップ参戦は、バブル末期のこの時期には数例あり、翌年参戦の凱旋門賞馬キャロルハウスのオーナーは吉田善哉氏、アサティスのオーナーは原田亨氏でした。なお、アサティスは種牡馬として第1回ジャパンカップダート勝ち馬ウイングアローを輩出しています。ちなみに、ウイングアローを育てたのは騎手を引退して調教師に転身した南井克己氏です。

 

 いよいよレースも最後の直線に向かうジャパンカップ。この後の展開も非常に楽しみですが、これらの駆け引きを全て見抜いていた名瀬トレーナーの慧眼と「天才」ぶりも、今後のストーリーに大きな影響を与えそうな予感がします。