馬也ホースレーシング

一口馬主・馳走(はせ・はしる)のブログです。シルクHC・ノルマンディーOC・DMMバヌーシーにて出資中。シルク2021年産・ターコイズフリンジ命名。競馬以外の話題はnoteにて発信中。 https://note.com/machino_sokoyori

【ウマ娘】シンデレラグレイ43R 秋天決着!オグリの右手に"戸崎"が宿る。

 長きにわたって繰り広げられた「シンデレラグレイ 第98回天皇賞(秋)編」も無事に決着がつきまして、史実通りのタマモクロスの優勝となりました。作画に多少プリティー要素も戻ってきて、少年漫画のように清々しい戦いの後の描写も大変良かったと思います。

 

 今週も、ヤンジャンアプリで60ポイントで最新話が読めます。

ynjn.jp

2021/6/3現在、1~10話まで無料で読めるらしいので、まだ読んだことのない方もこの機会にどうでしょうか。そして、長らく書店で在庫が枯渇していたコミックスの重版も追いついてきて、累計部数が65万部を超えたとのことです。

 

 

 

 

 

 

 

 コミックスを買って、久住太陽先生の自宅に励ましの洗濯機を(ry

 

 さて、レース自体は先週分で終了しており、プリティー要素どこに行ったと言わんばかりの大迫力バトルも心行くまで堪能できたわけですが、戦いを終えて「次」に向かっていく過程をどう描かれるのかが今回のポイントで、いずれの描写も大変ウマ娘の世界観を引き立てながら原作(史実)を心憎くおさえた好演出の連続だったと思います。

 

 まず、今回の天皇賞で新たな概念として登場した「領域」について。タマモクロスの走りをテレビ越しに観ていたスーパークリークとディクタストライカの2人ですが、この2人は、既に領域を体感済みなのではないかとワタクシは思います。

 

 先日ぶち上げさせていただいた「領域には代償が伴うんじゃないか説」も踏まえながらの考察ですが、

 

chisou-horse.hatenablog.jp

 スーパークリークはすでに領域に足を踏み込んでいて(それも、オグリがやってきたくらいのタイミングで)、その代償で春シーズンを棒に振ってしまったのではないか、と。

 

 原作のスーパークリークは、すみれ賞(現・すみれS)を快勝してオープン入りを果たすものの、骨折により春シーズンを棒に振るわけですが(この辺は、アプリの育成イベントで「小さなほころび」がつくアレ、と思っていただくとわかりやすいでしょうか)、それが「領域の代償」で、代償の存在を知っているからこそのあの表情なのかな、と。

 

 そんなスーパークリークも、タマモクロスとオグリキャップの戦いを見て、これは自分もまた領域に踏み込まねば…という覚悟を決めて菊花賞へ…となるんじゃないのかなと予想しています。

 

 スーパークリークと同じく、ディクタストライカもすでに領域に踏み込んでいるのではないかな、と思います。原作のサッカーボーイはこの年の夏の函館記念でレコード勝ちを果たし(2021年現在も函館芝2000mのコースレコードを保持)、マイルチャンピオンシップでも圧巻の勝利を果たすのですが、この年の有馬記念を最後に引退します。

 

 ウマ娘の世界観において、いかにディクタストライカを「退場」させるかを考えると、やはり「代償」が存在していたら便利なのではないかなと思うのです。

 

◆オグリの右手に戸崎が宿る

 さて、「領域」の考察と予想はこれくらいにして、今回の個人的ベストシーンですが、やはりタマモクロスから差し伸べられた手を握り返すオグリキャップの描写でしょう。

 

 原作における天皇賞のレース後、オグリキャップがタマモクロスをにらみつけていたというのはとても有名なエピソードで、オグリキャップの闘志やある種の人間臭さを物語っています。

 

 それは、オグリキャップの物語を描くうえでは絶対に外せないシーンなのですが、ウマ娘の世界観に落とし込んだときに、「ただにらみつける」だけでは、やや情報が不足するというか、まるでのちに遺恨を残すかのような描写になってしまう危険性もあります。

 

 そのシーンをどうやって描くのか、とても気になっていましたが、勝者をたたえながらも、闘志と負けん気と悔しさを隠さない「グッドルーザーの握手」として描いたのは、本当に「漫画の作画が超絶上手い」と言わざるを得ませんね。

 

 そして、この握手の描写、どこかで見たことあるなと思っていたのですが、すぐに「これが元ネタでは?」というシーンに思い当たりました。それは、2019年日本ダービーの確定後、検量室での一コマです。

 

 まず初めに、今回の「シンデレラグレイ」におけるオグリキャップの握手の手を見てください。基本的にこのブログでは本編の絵を載せるようなことはしないようにしているのですが、今回は図説しないとわかりづらいので、一部だけクローズアップして載せます。もし怒られたら、ワタクシ作の法廷画家風スケッチにでも差し替えます(笑)。

f:id:chisounin:20210603202148p:plain

ごらんの通り、悔しさを隠しきれず右手の甲に血管がビッキビキに浮き上がっているのが分かります。この握手ですが、以下の写真をご覧ください。

f:id:chisounin:20210603202246j:plain

これは、2019年のダービーをロジャーバローズで制した浜中俊騎手が、写真判定の末2着に敗れたダノンキングリーの戸崎圭太騎手と握手を交わしたシーンですが、勝者をたたえながらもどこか険しげな笑顔の戸崎圭太騎手と、握手する手首にありありと浮かび上がる血管、まるで今回のオグリキャップそのものではないでしょうか。

 

 「ウマ娘」では、過去にも原作エピソードを作品の世界観に落とし込むために別の人馬のエピソードを援用することがありました。

 

 それは、TVアニメ1期7話にて、骨折したサイレンススズカの脚を、トレーナーのとっさの指示に従って地面につけないように支えて救護の到着を待ったスペシャルウィークの描写ですが、この描写は当時TVアニメのプロデューサーで、現在はシンデレラグレイの企画原案を担当する伊藤隼之介氏が語った通り、1999年のベルモントSで、米クラシック二冠馬カリズマティックが入線後に左前脚を故障した際に、鞍上のC.アントレー騎手が下馬をしてカリズマティックの脚を支え、その結果予後不良の診断に至らず手術により一命をとりとめたというエピソードからの援用でした。

 

xn--gckvb3e1a0dy660b.com

 

 この例を考えても、ウマ娘の世界観に沿って印象的な原作エピソードを引き立てるために別の人馬のエピソードを引用する可能性は十分に考えられ、だからこそワタクシはこの考察に至ったわけですが、いうまでもなく個人的な妄想なのでその辺はあしからずご了承ください。

 

 でも、こういうシーンも想起できるシンデレラグレイは本当に素晴らしい作品だと思うし、競馬という競技の素晴らしさにも改めて思いを致すのです。