馬也ホースレーシング

一口馬主・馳走(はせ・はしる)のブログです。シルクHC・ノルマンディーOC・DMMバヌーシーにて出資中。シルク2021年産・ターコイズフリンジ命名。競馬以外の話題はnoteにて発信中。 https://note.com/machino_sokoyori

【ウマ娘】シンデレラグレイ30R オグリの走るレースが「日本一」なんじゃい!

 ダービーも終わり、タマモクロスも目の前で「最強」を見せつける中いまだに次の目標を定められずにいたオグリキャップですが、高松宮杯(シンデレラグレイは、ペガサスSもそうでしたが競走番組は当時準拠のようですね)を「復活」のレースとして位置付けた脚本は、毎度のことながらあっぱれですね。

 

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木曜日が祝日の場合は水曜に配信されるんですね。全然気が付かず、結局いつも通り木曜日に最新話を読んだワタクシでございました。

 

 また、コミックス2巻の書影も出たようで、今回はベルノライトが表紙です!

 

 

 

 今回も原作要素を細かく盛り込んだ心憎い描写もちらほらとありながらも、ウマ娘のキャラクターとしてのパーソナリティーを深堀した内容が大変良かったですね。

 

 冒頭のタマモクロス幼少期の描写は、おそらく生まれ故郷である錦野牧場の経営が立ち行かなくなり、母子ともに引き取り先を探していたころの描写なのではないかなと思われますが、ちびタマモのかわいらしさも相まって原作のエピソードから感じる「おつらさ」がマイルドな感じになっていましたね。

 

 この後の秋の三番勝負を引き立てるためにはもっとその辺の悲壮感が強く描写されてもいいように思いますが、それはおそらく今後かなりおつらい感じで描かれることでしょう。

 

 タマモ親子の様子を遠くから見ているウマ娘が、以前登場したオグリ母のようにも見えますが、これが何を意味しているのかは今はちょっとわかりませんが、「ウマ娘」の脚本である以上なにがしかキーになるような意味合いを持っているのでしょう。それが何なのかは今後のお楽しみにしたいと思います。

 

 で、次の目標を見つけられずにいるオグリキャップのもとに一本の電話がかかってくるのが今回のエピソードのメインパートになりますが、電話の主はかつてのカサマツでのライバル、フジマサマーチでした。

 

 このころのフジマサマーチの原作、マーチトウショウは電話での会話の中でも語られている通り、東海ダービーに挑んだもののフジノノーザンの4着に敗れた時期でもありました。かつて2度にわたってオグリキャップを下したマーチトウショウですが、オグリキャップの中央での連勝街道とは裏腹の現状にあったとも言えそうです。

 

 そんな状況に「本当に…残酷だよ」「少しだけ…挫けそうだ…」と涙するマーチですが、それを不器用に励ますかんたんオグリの描写がとても微笑ましいですね。そのあと、目標を見失っていることを見透かされ、むしろオグリの方が励まされる展開もカサマツメンバーの絆が感じられてとても良いです。原作では、中央移籍後にはかつての仲間との交流は装蹄師の三輪勝さん以外になかったことへの救いのようにも思われます。

 

 そんなな中でフジマサマーチの口から語られた「お前が走るレースを最高のレースにすればいい」というセリフが特に痺れましたね。オグリキャップが走るレースが「日本一のレース」であるからこそ、今日に至るまでオグリキャップが今なお人に愛され、だからこそこうして「シンデレラグレイ」という作品が存在しているわけです。

 

 GⅠ勝利数やその勝利の内容だけからオグリキャップを「最強」と称するには正直難しいところがあると思います。例えばラストランとなった「伝説の有馬記念」などは、その当時ですら勝ち時計が条件戦を下回ったことからレースレベルは低いという声もありました。

 

 しかしながら、それでもなおあのレースが後世にまで語り続けられているのは、それがオグリキャップの存在をもって「日本一のレース」であるからにほかなりません。

 

 オグリキャップは、クラシックに出走しておらず(出走できず)、GⅠの中でも最高峰としての位置づけにあるといえる天皇賞やジャパンカップを制したこともありません(有馬記念こそ2度勝利していますが)。しかしながらその敗戦すらも語り草になるのは、オグリキャップが走ったことでそのレースたちがいずれも「日本一のレース」であったからなのです。

 

 改めてオグリキャップとは何だったのか、を考えさせられました。

 

 そして、わずか一コマで高松宮杯のレコード勝ちをある意味での「復活勝利」として描いたのは、ともすれば中だるみしそうなこの時期の連勝街道を描くのに本当に良い方法だったのではないでしょうか。

 

 原作ではこれが古馬との初対戦となり、「古豪」ランドヒリュウを一蹴し、そのあまりの単勝馬券の売れ方から、当時の中京競馬場のオッズ表示板の桁が足りなくなってしまったという伝説すら残しているのですが、「ウマ娘」を描くにはちょっと蛇足にもなってしまいそうなエピソードなので、本編にあれこれと盛り込まずこんな感じでうんちくおじさんが触れるくらいがちょうどいいのではないかと思います。

 

 そして、うんちくついでに語っておきたいのが、オグリを励ましたマーチについて。

 

 原作ではこの高松宮杯が行われた1988年7月10日には、笠松競馬場では重賞「岐阜王冠賞」が行われ、そのレースでは東海ダービーでフジノノーザンの4着に敗れたマーチトウショウが、そのフジノノーザンにリベンジを果たす形である意味で「復活勝利」を挙げた日でもあるのです。

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 結果的にはこの勝利がマーチトウショウのキャリア最大の勝利となるのですが、その事実も踏まえて今回のオグリとマーチのやり取り、そしてその背後にいる三バカたちとの関係性を想うと、これまた味わい深いエピソードなのだと改めて感じる次第です。