東京優駿振り返り・「なぜを3回」繰り返したら、レースの繊細さが垣間見えた。
12番人気ロジャーバローズの勝利で
幕を閉じた令和最初の東京優駿。
「なぜを3回」で今回のレースを読み解きます。
まず、レースの経過と結果はいつもの通り
netkeibaの記事をご覧ください。
大まかな流れとしては、横山武史騎手の
リオンリオンがテンの5F57秒台の
ハイペースで逃げ、離れた2番手を
ポツンと追走したロジャーバローズが
直線坂の途中で先頭に立ってそのまま
後続を押し切って優勝。
事前に三強と目されたダノンキングリー、
ヴェロックス、サートゥルナーリアは
それぞれ2・3・4着。単勝オッズ
断然一番人気のサートゥルナーリアが
馬券圏内を外す結果となりました。
それでは、ここからは「なぜを3回」で
レースの本質に迫ってみようと思います。
◆【なぜ①】サートゥルナーリアの敗因は何か。
まず第一に、スタートで立ちあがってしまい
大きく出遅れたことが最大の敗因であることに
疑いの余地はないでしょう。
安藤勝己元騎手 がさすがの見解を示されて
いたので、そのツイートを紹介しますが、
サートゥルナーリア。マイナス体重で嫌な予感。パドックまで我慢できとったけど、最後の最後でテンションが爆発した。僚馬とは逆に、人のプレッシャーも伝わったかな。ああいう時は先にゲート入れたほうが中で落ちつくの。普通ならいいはずの偶数番が裏目に出て、最悪のタイミングでゲートを切られた。
— アンカツ(安藤勝己) (@andokatsumi) May 26, 2019
まさにこの通りだったのでしょう。
この日のサートゥルナーリアは、枠入り前から
激しくクビを上下させるほどの入れ込みを
見せていました。
◆【なぜ②】なぜそこまで入れ込んだのか
2歳の頃より、上の兄弟であるエピファネイアや
リオンディーズと違い、気性的に激しいところは
ないといわれてきた馬でしたが、最大目標の
最後の最後でシーザリオ産駒の悪い部分が露呈
してしまいました。
GⅠでのスタンド発走は、前回の皐月賞で既に
経験済みで、それがシンプルな理由であるとは
やや考えにくいですが、もしかしたら、
ここを目標にメイチの仕上げ、オツリ無しで
出てきたことが結果的にピリピリとさせて
しまったのかもしれません。
ワタクシ、パドックを見ながらこんな
ツイートをしたのですが、
サートゥルナーリア、口割っていて暑そうにしてるな。トモもちょっと角ばってる。複勝圏は外さないだろうが、危うい。ヴェロックスはかなりよさそうだ。 #keiba
— ふじひろさんa.k.a.下級一口馬主馳走人 (@fujihiro4416) May 26, 2019
思いの外状態がよくなかったのかもしれません。
◆【なぜ③】三強の明暗を分けたのは何か。
三強の残り2頭、ヴェロックスとダノンキングリーは
なぜロジャーバローズを捕らえることができなかったのか。
まずは3着のヴェロックスですが、これは出遅れた
サートゥルナーリアを見過ぎたのが敗因でしょう。
スタートの瞬間、サートゥルナーリアを「捨て置く」
判断を川田騎手がしていればもしかしたらもっと上の
着順もありえたかもしれませんが、こればかりは
紙一重なので、仕方のないことといえそうです。
それでも、できうるかぎりのレースはしており、
ヴェロックス自体の実力も、このレースの結果だけで
低くみられるべきではないと思います。
ここについても、アンカツさんの解説がものすごく
的確だったのでご紹介します。
今日の馬場で出遅れたらレーンでも焦る。先着された3頭に比べれば道中で脚を使って、直線も外を回って早目に動いとる。ヴェロックスに差し返されたのはその分。枠が良かっただけに、スタート決まれば結果も違ったけどそれも運。あと、サートゥルの出遅れで割を食ったのはプランが変わったユウガかな。
— アンカツ(安藤勝己) (@andokatsumi) May 26, 2019
一方、2着のダノンキングリーは、サートゥルナーリア、
ヴェロックスの2頭を意識するよりも自分の競馬を
するしかないと開き直った結果がこの2着に
つながったのではないでしょうか。それが、
3着・4着との差になったと思います。
が、それでもロジャーバローズを捕らえる
には至らなかった。
サートゥルナーリアの入れ込みに端を発した
細かなファクターの積み重ねが最後の
クビ差につながった、レースの繊細さを
まざまざと感じさせられる令和最初の
ダービーでした。
ともあれ、ロジャーバローズと関係者の皆様、
優勝おめでとうございました。
(出典:netkeiba 撮影:下野雄規)