【3/3JRA】弥生賞見解・ラストドラフトVSニシノデイジー、コンセプトの戦い
血統表が、いわばサラブレッドの設計図で
あるとするならば、弥生賞の人気2頭、
ラストドラフトとニシノデイジーのそれは、
コンセプトがよく読みとれる実に美しい
設計図であると言えるでしょう。
まずはしっかりと見立てておきたいのは
日曜の馬場状態。木曜日にしっかりと
雨が降り、日曜の午後も現在のところ
雨の確率は五分五分。
もしも雨が夕方以降、弥生賞の時間まで
降らなければ、水はけによって固く締まった路盤に、葉脈に豊富に水を
吸い上げた芝生による、いわゆる
ノメる馬場となるでしょう。
日曜日朝~午前中に雨が降り出せば、
レースの頃には英国式でいえば
「Good to soft」な馬場と
なっていることでしょう。
前者になった場合は、
「ノメリストの法則」が
如何なく発揮されそうな
ノヴェリスト産駒ラストドラフトが、
後者の場合はハービンジャー産駒の
ニシノデイジーが争覇候補の
筆頭となるでしょう。
両者とも前目につけての競馬が可能で、
いずれにしても前が止まらない馬場を
内枠から進められる点で、かなり
有利な状況ができています。
実力的に抜きんでていることも
言うまでもないでしょう。
馬券は、馬連1-2の
一点でいいと思います。
もしもオッズが4倍を切るならば、
このレースはケンにしてもいいのでは
ないかと思います。
馬券的にはあまり魅力を感じない
レースですが、上位人気のこの2頭、
冒頭でも述べた通り、それぞれ
生産のコンセプトや哲学を強く感じる
味わい深い血統の持ち主でもあります。
まずはラストドラフトの血統表を
見てみましょう。
さすがドイツ血統のノヴェリスト。牝系のイニシャルがピシッとそろったラインが
並行して2本走っており、もうすでにかなり美しい
血統表ですが、母マルセリーナの血統も、父は
ノーザンファームの大黒柱ディープインパクトに、
母父はサトノクラウンの父としても
おなじみのmarju。
サトノクラウンが現在社台SSで繋養されている
≒社台・ノーザンファームが戦略的に導入を
試みている血であると考えると、
マルセリーナもすでにコンセプチュアルな
血統構成であり、そこに社台としては血統の
袋小路化を避けるべく導入したブランドフォード系の
ノヴェリストを掛け合わせたこの馬が、社台RHの
時期エース候補となっているのは、まさに生産者の
哲学の発露であり、美しい血統表と言えるでしょう。
直系がドイツ血統ということで、重厚と言えば
聞こえがいいものの、ともすれば鈍重になりかねない
配合のなかで、母系をたどった先にいるHabitatが、
スピードを補うスパイスとして隠されているのも
実に趣深いですね。Habitatは、スティールハートを
経由して、80年代はおろか史上最強に推す声もある
名マイラー、ニホンピロウイナーを出しており、
その産駒ヤマニンゼファーもスピード豊かな
名馬として日本の競馬史に燦然と輝いていることから、
日本のスピード競馬においては有用な血であると
いうことができます。
続いて、ニシノデイジーの血統表。
牝系にずらりと並ぶ「ニシノ」の3文字。
ニシノフラワーに端を発して、西山牧場が誇る
クラシック2冠馬セイウンスカイを配し、
日本在来牝系とサンデーサイレンスの配合に
よる傑作アグネスタキオン、欧州で猛威を振るう
Danzig系のハービンジャーを掛け合わせた
血統表は、西山牧場の伝統と、西山茂行オーナーの
進取の気性を同時に感じ取ることができる、
まさに「西山哲学」の結晶。
そのイズムと関係者の取り組みには頭の下がる思いです。
今回の弥生賞は、この2頭の
「コンセプトの戦い」に要注目です。
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