フェブラリーSを振り返る。フェアで見ごたえのある2019年初GⅠ
インティのGⅠ初優勝となったフェブラリーS、
それぞれの陣営がそれぞれのベストを出し、
高度な戦いを繰り広げたフェアで見ごたえの
あるレースでした。
レースの大まかな流れと結果は以下の
ニュースをご覧ください。
◆序盤「行ききれた」インティに軍配
勝ち馬インティは、向こう正面で先頭に立つと
そのまま最後の直線でも突き放しての勝利。
アンジュデジールが直前に回避したことで
スローペースが予想されていたレースですが、
サクセスエナジーがパドックで二人引きの
厩務員をぐいぐいと引っ張るような入れ込み
気味の気勢を見せていたことから、
スタートから隣のインティに競りかけて
行くことも考えられたものの、スタート後
きっちり折り合って3番手につけたことで、
インティが楽に逃げる展開となりました。
このことで、インティは最後の最後、
クビ差ゴールドドリームを凌ぎ切ったとも
いえ、入線後2完歩ほどでゴールドドリームに
交わされているところからも、抜群のペース
読みと仕掛けを冷静に遂行、キッチリ
クビ差残した武豊騎手のファインプレーと
言えるのではないでしょうか。
インティのオーナーはかつてメジロ牧場の
場長としてメジロマックイーンや
メジロライアン、メジロドーベル親子を
武田茂男氏。東京競馬場内、競馬博物館での
秋季特別展「メジロ牧場の歴史~”白と緑”の蹄跡」
最終日にして、メジロ牧場の開祖、
北野豊吉氏の命日にオーナーとして初の
GⅠ制覇。実にドラマチックな結末となりました。
血統的にも、今後の種牡馬入りを考えると
とても夢がある馬なので、ここについては
別記事を作ろうと思います。
◆ルメールVS武豊の高速馬上チェス
2着のゴールドドリームとルメール騎手も
完璧なレース運びをしたと思います。
アンジュデジールの回避に伴い、予定より
1頭ほどまで競馬をしてくるだろうという
ワタクシの想定は見事的中。17年の
優勝時コーナー通過順【9-8】、
昨年2着時のコーナー通過順【10-8】に
対して、今回は【6-6】。
考え得る限りベストな位置取りと
仕掛けで、4コーナーを回ったところでは
勝ったかと思って観ていましたが、前述の
インティ&武豊騎手のファインプレーの前に
わずかに届きませんでした。
ゲートを出てからわずか100秒弱、
ルメールVS武豊の実に見ごたえある
超高速馬上チェス、お見事でした。
◆「ラクな競馬」に徹した3、4着馬
3着ユラノトと4着モーニンは、人気的に
マークの緩む中で、好位~中団の
今回の展開の中では比較的負荷の
かかりづらいポジションで進められたことが
そのまま好結果につながったと言えるでしょう。
特にユラノトは、個人的にベストターンド
アウト賞モノと思えるくらいパドックでは
好気配で、
パドックはユラノトがよく見えた。 #keiba
— ふじひろさんa.k.a.馳走人 (@fujihiro4416) 2019年2月17日
しっかり仕上がった馬がラクな競馬で
上位に食い込んだのは、必然の結果です。
逆に、4着モーニンの位置取りには驚かされました。
直近2走のコーナー通過順が、2走前の
JBCスプリントで【11-11】、前走の
根岸Sでは【12-13】でしたが今回は
【5-3】。ただ、3年前のこのレース
優勝時は【4-4】なので、本来的には
前目の好位で進めたほうがいい馬
なのでしょう。
昨冬の芝挑戦が脚質を崩した原因
だとすれば(この後、前に行けない
競馬が続いていたので)、もし
ここに来て立て直しに成功したのならば
もうしばらくダート短距離界では
馬券的においしい場面も出てくる
かもしれません。
◆藤田菜七子、大健闘の初GⅠ5着。
今回の大きなトピックスの一つは、
やはりこれでしょう。展開待ち、
戦法の限定された中で最善を尽くし、
4コーナー最後方の時点では
ジ・エンドと思われましたが、
しっかりと追われて上がり2位の
末脚で5着確保。クラスは全然違いますが、
我が愛馬ステリーナに騎乗した際も
似たようなレースぶりを見せて、その
手腕に感心したものですが、
今回も手腕の成長を強く感じる騎乗でした。
興業面でも大きな貢献となり、
十分な賞金と手当てを手にしたコパオーナー&関係者、
藤田菜七子騎手のマネジメントを請け負うホリプロ、
来場したファンと、なによりも馬券売り上げを伸ばした
JRAすべてがwin-winの「大商い」となったと思います。
◆自分の競馬ができなかった有力候補勢
上位陣がそれぞれ説得力十分の好走を
みせる中、10着に沈んだオメガパフュームは、
左回りの不得手以前に、楽に進めたいポイントで
ノンコノユメに競りかけられてしまい、
無駄に削られてしまったこと、ブービーの
ノンコノユメは枠内駐立不良からの
大出遅れと、それを取り戻そうとして
スイッチが入りすぎての暴走が原因で
それぞれ自分の競馬をすることなく敗退。
まるで根岸SサンライズノヴァのVTRを
観ているような競馬でした。
オメガパフュームにとっては災難な
レースとなってしまいました。
次走、帝王賞であればもう一度
狙ってみようかなと思います。
かしわ記念ならば、「即切り」です。
ともあれ、全体的に内容の濃い、
全周パトロールを見ても非常フェアな、
振り返りがいのある2019年初GⅠでした。
馬券的にはダメでしたが、示した見解が
大枠で的を外さない結果となったのは
よかったと思います。