史上最高のケチャップドバドバホース、キタサンブラック引退式
1月7日、京都競馬の昼休みにて
昨年いっぱいで引退しキタサンブラックの
引退式が執り行われました。
昨年末の有馬記念勝利後に当地で引退
セレモニーは行われていましたが、この日は
関西のファンの前で別れを告げる引退式。
終始和やかな様子を中山のターフ
ビジョン越しに見守りました。
キタサンブラックは、
今さら説明をするまでもなく史上最多タイの
JRAGⅠ7勝をあげ、テイエムオペラオーが
持っていた最高生涯獲得賞金額も更新した、
押しも押されぬ歴史的名馬。
元サッカーオランダ代表のルート・ファン・ニステルローイは、かつて
「ゴールはケチャップのようなものだ。ビンを必死に叩いても
出てこないかと思えば、一気に全てが出てくる。」
と語りましたが、キタサンブラックはまさに競馬界において
史上最高レベルでこの「ケチャップドバドバ」
だった馬と言えるでしょう。
○父ブラックタイド、ケチャップドバドバ
db.netkeiba.com
キタサンブラックの登場まで、ブラックタイドはほとんどのシーンで
「ディープインパクトの兄」として認知されてきました。きつい言い方を
してしまえば、「不肖の兄」として…といっても過言ではないでしょう。
父・サンデーサイレンス、母・ウインドインハーヘアという良血で
デビュー前から大きな期待を集めたものの重賞勝利は3歳時の
スプリングSのみ。それどころかその一戦以降は未勝利のまま、
期待を大きく裏切って現役生活を終えました。
しかし、1年後に全弟のディープインパクトが史上2頭目となる
無敗の三冠馬となり、その血統を買われて種牡馬入り、一説には
3000万円ともいわれる超高額種付け料を誇る弟の代用馬として
繁殖生活を送ってきていました。
種牡馬としての活躍もイマイチで、産駒の重賞勝利は
キタサンブラック以前はわずか3頭(計3勝)にとどまってました。
それが、キタサンブラックだけでGⅠ7勝・重賞通算10勝。
まさしくケチャップドバドバです。
(なお、産駒獲得賞金総額の40%近くをキタサンブラック1頭で稼いでいる模様)
○北島三郎オーナー、ケチャップドバドバ
国民的演歌歌手としてもおなじみの北島三郎オーナー。
(馬主登録名義は「大野商事」)
すでに馬主歴は50年近くになる、この世界でも大御所クラスの
オーナーですが、高馬を買い漁らず、中小牧場の生産者とともに
夢を目指すスタイルで、キタサンブラック以前にはG1タイトルを
手にしたことがありませんでした。
しかし、ここに来て一気にG1タイトルを7つも獲得!
これもまたケチャップドバドバ
○生産者のヤナガワ牧場も、ケチャップドバドバ
uma-furusato.com
キタサンブラックを生産したヤナガワ牧場もまた、しばらくの間
重賞勝利とは縁の遠かった牧場でした(2008~2012年の間、JRA重賞未勝利)。
2013~2014年にコパノリチャード・コパノリッキーがGⅠ含む重賞10勝を挙げていますが、
2015年にキタサンブラックが台頭してから2017年末までに重賞18勝、うち地方交流含む
GⅠ15勝という、超ケチャップドバドバ
キタサンブラックと同じく、引退レースを勝利で飾り2017年いっぱいで現役を退いた
コパノリッキーも、新記録となるGⅠ・JpnⅠ通算11勝を達成!とてつもない大記録です。
これぞ、キタサンブラックが
史上最高のケチャップドバドバホース
たるゆえんなのであります。
このあと種牡馬入りするキタサンブラック、
産駒は早ければ2021年デビューとなります。
無事是名馬を体現するような現役生活
だっただけに、健康な子供を多く出して
くれることを期待します。
獲得したGⅠタイトルが長距離に偏ってるのが
若干気がかりですが、(天皇賞・秋は2000mだが、
超がつくほどの極悪馬場での勝ち星のため参考
にならず)サクラバクシンオーのスピードがうまく
遺伝するような配合ならば、大化けも
あるのではないでしょうか。
「不肖の兄」の、乾坤一擲。
多くの競馬ファンの記憶にその姿は焼き付けられ、
忘れられることはないでしょう。