【ウマ娘】最速の機能美の復活劇が、アニメの機能美フル回転だった。
「あぁ^~ハービンジャぁ^~」をなんとかして流行らせたい。
どうにかならんもんか…。
『ウマ箱』第1コーナー(アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』トレーナーズBOX) [Blu-ray]
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というわけで、毎回神回系アニメ「ウマ娘プリティーダービー」も
早くも11話の放送となりまして。
ワタクシも相変わらず毎週楽しく視聴しております。
この回は第7話の天皇賞・秋で故障発生、競走中止した
サイレンススズカの復帰戦が描かれましたが、
これがまた、アニメの機能美フル回転の出来でございました。
※ifの世界で生きているという事実だけで、
既にアニメの勝利だとは思いますが。
本編ダイジェストは、ほかに詳しくまとめられている
ブログもありますので、そちらをあわせてご覧ください。
そもそも、「アニメの機能美」とはなんぞや?というハナシですが、
これはかのガンダムで有名な富野由悠季監督が「ヤマノススメ」
というアニメをほめちぎった時に使った「アニメの性能」という
言葉がありまして、
富野監督講演会。ヤマノススメに対して「アニメの性能が発揮された作品。もしあれが実写だったらただの山歩きになってしまい、TV番組にもならないのでは」と語っていた。
— おはぎ (@ohagi2334) October 22, 2017
まあ、要するにアニメで表現することで生まれる
ドラマや機微とかそんなところではないかと
私は解釈しておるわけですが、ウマ娘第11Rで
そんな「アニメの機能美」 を感じた点を
つらつらと挙げていきたいな、と。
◆ディテールを意のままにコントロール
できる機能美
映像作品において、異なる2者間の関係性を
類似性のあるカットを重ね合わせることで暗示する
「クロスカッティング」という手法がありますが、
ウマ娘でもこの手法は使用されており、
まあ、別に実写映像作品でも普通にあるようなシーンではありますが、
役者の芝居に頼る実写映像と違い、アニメは細かな指示を含んだ
絵コンテにより画が起こされるわけで、このシーンも映像で見ると
とても分かりやすいのですが、両者の表情の動き方など、
ピッタリと同じように描かれているんですね。
他にも、劇中でスペシャルウィークとサイレンススズカが
指切りをかわし、それぞれのレース後、レース前にそれを
回想するくだりがあるのですが、
ここなどは、全く重なり合うように画が作られていて、実写では
絶対にできないような表現になっています。いかにこの作品が
アニメとして丁寧に作られているかがよくわかりますね。
◆芝居を超える「素の声音」
アニメという映像表現は、動く絵に合わせて役者が声の芝居を当てる
ことで出来上がるもので、それ自体が既にアニメの機能でもあるのですが、
声を当てる人がプロの役者ではない場合、ある一点で素の声音が出て
あらゆる芝居を超越してしまうという機能美もまた存在します。
巨匠・宮崎駿監督の長編引退作(少なくとも2018年6月現在では)
「風立ちぬ」の主人公は、アニメ監督としては同じく巨匠で
あるものの、役者としては言うまでもなく素人の庵野秀明氏が
起用され、賛否両論が起こりました。
ワタクシもこの作品をもちろん観ましたが、確かに庵野氏の芝居は
終始違和感があり、なぜ宮崎監督はこのような起用をしたのか、
鑑賞中終始疑問を抱いていたのですが、物語のラストシーン、
「満足したか」と問われた主人公が、震える声で応える段になって、
ようやく、この素の声音を引き出すための「素人」の起用、
そしてそれこそがこの作品の主題なのではないかと気づき、
宮崎監督の深謀遠慮に戦慄を覚えたものです。
ウマ娘にも、解説の細江さん役として、元ジョッキーの
細江純子氏が出演していますが、今回のサイレンススズカ
復帰戦のシーンのなかで「走って!スズカ!」と叫ぶ
シーンがあり、これがまさに「素の声音」として真に
迫ってくるところがありました。
細江氏の現役時代に兄弟子だったのがサイレンススズカ
最初の主戦騎手、上村洋行現調教師で、「サラブレ」
6月号のインタビューでも、「純、この馬(サイレンススズカ)は
相当な器だぞ。」と聞かされていたというエピソードがあり、
じつは細江氏にとってもサイレンススズカは縁のある
馬だったわけで、だからこそ絞り出された「素の声音」が
物語の色彩をより鮮やかにしたのでしょう。
これこそまさに「アニメの機能美」が発揮された瞬間と言えます。
もしもプロデューサーの伊藤氏がこれを狙って
やっていたら、本当にすごいことだなあ。
こういった点を振り返ってみると、やはり
アニメ「ウマ娘」は侮れないなと思う次第。
放送は今月いっぱいですが6月9日と10日の
2日間にかけて一挙放送もあるので、
まだ未見の方々もぜひご視聴を。
<余談>
最後の直線、大外一気で突き抜けるスズカさん、
このコース取り、どこかで見たことないですかね?